Claude Code effortはいつ上げる?公式データと手元検証で分かった使い分けの基準
Claude Code effortはいつ上げるべきか。Claude Codeチームが9月25日に公開した実測データ(合格率・失敗分類・トークン)を翻訳し、請求明細チェックの手元検証と業務別の判断表で使い分けの基準を示します。

この記事の結論
- Claude Codeのeffortは「そのタスクにどれだけ計算を使わせるか」の目安で、low・medium・high・xhigh・maxの5段階です。2026年9月時点の既定値はOpus 5.5がmedium、他の対応モデルはhighです。
- Claude Codeチームの実測(Terminal-Bench 3.0)では、effortを上げるとセキュリティ64→87%、ハードウェア34→75%のように「エッジケースが多い仕事」は大きく改善しますが、仕様が明確な仕事の伸びは小さく、トークン中央値は73k→222kに増えます。
- effortが減らすのは「見落としたケース」(59→24件)であって「判断の誤り」(133→107件)はほぼ減りません。maxを常用しても間違ったアプローチは直らず、時間とコストだけが増えます。
- 手元の請求明細チェック(誤り7件)では、lowは6件検出で税率の適用ミスを見落とし、highは7件すべて検出しました。所要時間は約20秒→46秒、出力トークンは約2.4倍でした。
- 設定は /effort が基本で、環境変数 CLAUDE_CODE_EFFORT_LEVEL → --effort・/effort → settings.json → モデル既定の順に優先されます。作業の途中でも切り替えられます。
Claude Codeには「effort(エフォート)」という、Claudeにどれだけ考えさせるかを決めるつまみがあります。上げれば賢く、下げれば速く安い——ここまでは知られていますが、「どの仕事なら上げる価値があるのか」を当事者のデータで示した資料は、2026年9月25日にAnthropicのClaude Codeチーム、Thariq Shihipar氏が公開した記事が初めてです。この記事はX(旧Twitter)で141万インプレッション・1万ブックマークを集めました。本稿ではそのデータを正確に翻訳し、同じ主張が業務の書類チェックでも成り立つかを手元で検証したうえで、士業・バックオフィス向けの判断表に落とし込みます。
目次
Claude Codeのeffortとは?——「どれだけ考えさせるか」のつまみ
effortとは、Claude Codeが1つのタスクにどれだけ計算(思考と検証)を使うかの目安を指定する設定です。レベルは low・medium・high・xhigh・max の5段階で、公式ドキュメントによれば2026年9月時点の既定値はOpus 5.5がmedium、Opus 4.7がxhigh、Fable 5.1を含むその他の対応モデルはhighです。
Thariq氏はeffortを「その仕事に1時間かけてほしいのか、12時間かけてほしいのかを伝えるようなもの」と説明しています。なお、Claude Code自体の基本は入門ガイドにまとめています。
重要なのは、effortが「賢さのつまみ」ではなく「自律性のつまみ」だという点です。Thariq氏はこう書いています。
「Claudeはどのeffortでもタスクを妥当にこなそうとしますが、effortを上げるほど、判断と検証のためにClaudeが自分で動く量が増えます。」
"Claude will always try and do your task reasonably, but higher effort will involve Claude taking more independent action for judgement and verification."
Thariq Shihipar(Anthropic・Claude Codeエンジニア)— Using Claude Code: Spending your effort
つまりhighやmaxでは、Claudeが「テストを追加で書く」「別の方法でも確認する」「疑わしい箇所を自分で掘る」といった行動を増やします。その分、時間とトークンがかかります。公式ドキュメントは、折りたたまれて見えない思考トークンも全額課金対象であることと、maxは「考えすぎ(overthinking)になりやすいので、広く採用する前にテストを」と明記しています。
| レベル | 公式の位置づけ(2026年9月時点) | 対応モデル |
|---|---|---|
| low | 短く範囲が明確で、速さ優先の作業 | すべての対応モデル |
| medium | コスト重視。Opus 5.5の既定値(Opus 5のhigh以上の性能) | すべての対応モデル |
| high | トークンと性能のバランスの既定値 | すべての対応モデル |
| xhigh | より深い推論。Opus 4.7の既定値 | Fable 5.1 / Fable 5 / Opus 5.5 / Opus 5 / Sonnet 5 / Opus 4.8 / Opus 4.7 |
| max | 難しい仕事向け。ただし考えすぎになりやすい | 同上(Opus 4.6・Sonnet 4.6は非対応で、指定するとhighに丸められる) |
※effortはモデルごとに調整されており、同じ「high」でもモデルが違えば使うトークン量は同じではありません(公式ドキュメント)。
effortを上げると何が変わるのか——Claude Codeチームの実測データ
結論から言うと、effortを上げて大きく伸びるのは「エッジケース(例外的な条件)が多い仕事」で、「仕様がはっきりしている仕事」はあまり伸びません。Thariq氏はTerminal-Bench 3.0(エージェントの実務能力を測るベンチマーク)をFable 5.1でeffort別に走らせ、領域ごとの合格率を公開しました。
| 領域(タスク数) | low | 最上位effort | 伸び |
|---|---|---|---|
| セキュリティ | 64% | 87% | +23pt |
| ハードウェア(5) | 34% | 75% | +41pt |
| 機械学習(13) | 54% | 73% | +19pt |
| 科学計算(15) | 41% | 61% | +20pt |
| 運用・オペレーション(10) | 12% | 22% | +10pt |
| メディア処理(4) | 18% | 30% | +12pt |
※出典:Thariq Shihipar「Spending your effort」(Fable 5.1、Terminal-Bench 3.0)。上位4領域はエッジケースが多く、下位2領域は手順が明確な仕事が中心。
個別のタスクではさらに極端で、Webのセキュリティフィルタを実装する課題(html-js-filter)はlowで5回中1回しか成功しなかったものが最上位effortでは5回中5回成功しました。ただし所要時間は約2分から約33分に伸びています。高effortのClaudeは、パーサーのソースを読み、XSSのテスト一式を書き、ランダムな入力で総当たり検証(ファジング)まで行っていた、というのがThariq氏の観察です。
コスト面では、タスクあたりのトークン中央値がlowの73kからmaxの222kへ、およそ3倍になっています。時間も「仕様が曖昧なアプリを作る」課題でlow 1.5分に対しmax 67分、「設定メニューを設計する」課題で1分に対し28分と、桁が変わる例が示されています。
なぜmaxを常用してはいけないのか——effortが直せる失敗、直せない失敗
maxを常用してはいけない理由は、effortが減らせる失敗の種類が限られているからです。Thariq氏は失敗をタイプ別に数え、effortを上げると減るものと減らないものを分けて示しました。これがこの記事でいちばん重要なデータです。
| 失敗のタイプ | low | max | effortで減るか |
|---|---|---|---|
| ケースの見落とし(missed cases) | 59件 | 24件 | 大きく減る |
| 自作テストが拾えなかったバグ | 40件 | 14件 | 大きく減る |
| 要件の読み違い | 45件 | 26件 | ある程度減る |
| 判断の誤り(wrong approach) | 133件 | 107件 | ほぼ減らない |
※出典:同記事 Figure D(Fable 5.1、low→max)。
「effortを上げるとエッジケースの見落としによる失敗は減る傾向にありますが、モデルが間違ったアプローチを取っている場合は直りません。」
"increasing effort tends to reduce failures due to missing edgecases, but does not fix when the model has the wrong approach."
Thariq Shihipar(Anthropic・Claude Codeエンジニア)— Using Claude Code: Spending your effort
言い換えると、effortは「丁寧さ」を買う設定であって、「正しい方針」を買う設定ではありません。方針そのものが間違っているときに必要なのは、より長い思考ではなく、より良い指示——何を作るのか、何を優先するのか、どこまでが範囲なのか——です。Claudeが的外れな方向に進んでいると感じたら、effortを上げる前にプロンプトとCLAUDE.mdを見直すほうが効きます。
手元検証:請求明細チェックをlowとhighで比べた結果
「エッジケースが多い仕事ほどeffortが効く」という主張は、コードの世界だけの話でしょうか。当研究所で、士業やバックオフィスの日常業務に近い課題で確かめました。結果は、Thariq氏のデータをそのままなぞるものでした。
用意したのは14行の仕入請求明細(CSV)です。そこに、消費税の計算ミス、軽減税率の誤適用、免税事業者への課税、端数の切り上げ、重複行、期間外の日付、税込金額の転記ミスの7件を仕込み、社内ルール7項目とともに「誤りをすべて列挙して」と同じプロンプトで、claude -p --effort low と --effort high(モデルはFable 5.1)を実行しました。
| 項目 | effort = low | effort = high |
|---|---|---|
| 検出した誤り | 6件 / 7件 | 7件 / 7件 |
| 見落とし | 行2:税率10%の行に8%で計算された消費税 | なし(行13の端数処理まで「正しい」と明示) |
| API所要時間 | 19.8秒 | 46.4秒 |
| ターン数 | 2 | 3 |
| 出力トークン | 1,260 | 3,024(約2.4倍) |
| コスト換算(Claude Code表示) | 約$0.57 | 約$0.65(約14%増) |
※1回ずつの実行結果で、統計的な比較ではありません。コストはキャッシュ作成分を含むAPI換算値です。
lowが見落とした行2は、税率欄には「10%」と書いてあるのに税額が8%で計算されている行でした。ルールに照らせば明らかな誤りですが、「税率欄と税額欄の整合」という一段深い確認をしないと見つかりません。まさにThariq氏の言う「見落としたケース」です。一方でlowも、免税事業者への課税や期間外の日付といった「ルールに直接当たる」誤りは全部拾っていました。手順が明確な部分はlowでも十分で、例外の見落としを潰したいならhighにする——この使い分けが業務でも成り立つことが確認できました。
effortはどう設定する?——5つの方法と優先順位
設定方法は5つあり、いちばん手軽なのはセッション中に /effort と打つ方法です。公式ドキュメントの内容を、優先順位が高い順に整理します。
環境変数 CLAUDE_CODE_EFFORT_LEVEL(最優先)
シェルで設定するとそのセッションで最優先され、/effort の変更より強く効きます。チームで統一したいときに向きます。
起動時の --effort フラグ、またはセッション中の /effort
claude --effort high のように起動時に指定するか、作業中に /effort と入力してスライダーで選びます。Enterで既定として保存、sキーでそのセッション限定(v2.1.257以降)。/model のモデル選択画面でも左右キーで調整できます。
settings.json の effortLevel / modelSettings
モデルごとに既定値を持たせるなら modelSettings が推奨です。/effort で保存した値もここに書かれます。
skill・サブエージェントの frontmatter に effort: high
「このskillが動くときだけ高effort」という指定ができます。書類チェック用のskillだけhighにする、といった業務設計に便利です。
モデルの既定値
何も指定しなければ、Opus 5.5はmedium、Opus 4.7はxhigh、その他はhighで動きます。
{
"effortLevel": "high",
"modelSettings": {
"claude-opus-5-5": {
"effortLevel": "medium"
}
}
}
作業の途中で切り替えることもできます。/effort はClaudeが動いている最中でも実行でき、次のリクエストから新しいレベルが適用されます。キャッシュ済みのセッションでは警告が出る場合がありますが、AnthropicはOpus 5.5の公式ブログで、セッション中のeffort変更でキャッシュをリセットしない改善を挙げています。また、設定を変えずに「このターンだけ深く考えてほしい」ときは、プロンプトに ultrathink という語を含めると、そのターンに限って深い推論を求められます(think や think hard では効きません)。
士業・バックオフィスでの使い分け——当研究所の判断表
当研究所の見解として、業務でのeffortは「見落としが致命的な仕事は上げ、手順が明確な仕事は下げる」の一文で決められます。Thariq氏のデータと手元検証を、事務所や部署の日常業務に翻訳すると次のようになります。
| 業務 | 推奨effort | 理由 |
|---|---|---|
| 契約書のリスク洗い出し、申請要件との照合 | high〜xhigh | 例外条件が多く、1件の見落としが損失に直結する |
| 税額・端数・軽減税率のチェック | high | 手元検証でlowが税率の不整合を見落とした |
| 既存書類のひな形からの定型生成 | medium(Opus 5.5の既定) | 手順が明確で、上げても伸びが小さい |
| 議事録の整形、要約、翻訳の下書き | low〜medium | 速さが価値。見落としより読みやすさが重要 |
| 方針が固まっていない企画・設計 | 上げても解決しない | 「判断の誤り」はeffortでは減らない。まず指示を具体化する |
コストの目安も持っておきましょう。Thariq氏の計測ではlow→maxでトークンが約3倍、当研究所の検証ではlow→highでAPI換算約14%増(所要時間は約2.3倍)でした。ProやMaxなどの定額プランでは金額ではなく利用枠の消費として効いてくるので、「午前中に書類チェックをhighで回し、午後の定型作業はmediumに戻す」といった運用が現実的です。逆に、maxを既定にしたまま定型作業を大量に回すのは、公式ドキュメントが注意する「考えすぎ」でトークンと時間を浪費する典型例です。
最後にもう一度。effortを上げても直らない失敗があります。Claudeが的外れな結果を返すとき、まず疑うべきは effort ではなく指示の曖昧さです。CLAUDE.mdとskillsの使い分けで業務のルールを固めたうえで、検証が重要な場面だけeffortを上げる——これが、費用対効果のいちばん高い使い方だと当研究所は考えています。
まとめ
この記事のまとめ
- effortは「どれだけ考えさせるか」ではなく「どれだけ自分で検証・判断させるか」のつまみ。5段階で、既定はOpus 5.5がmedium、他はhigh
- Claude Codeチームの実測では、エッジケースが多い仕事(セキュリティ64→87%など)は大きく伸び、手順が明確な仕事は伸びが小さい。トークンは約3倍
- effortが減らすのは「見落とし」で、「判断の誤り」はほぼ減らない。maxの常用は時間とトークンの浪費になりやすい
- 手元の請求明細チェックでもlowは税率の不整合を見落とし、highは全件検出。業務でも同じ傾向
- 設定は /effort が基本。環境変数 → --effort・/effort → settings.json → モデル既定の順に優先。skill単位で上げる設計も可能
よくある質問
Claude Codeのeffortとは何ですか?
Claudeにそのタスクへどれだけ計算(思考と検証)を使わせるかを指定するつまみです。low・medium・high・xhigh・maxの5段階があり、上げるほどClaudeは自分で検証や判断を多く行い、下げるほど速く安く動きます。2026年9月時点の既定値はOpus 5.5がmedium、Fable 5.1などはhighです。
Claude Codeのeffortはmaxにしておけば安心ですか?
いいえ。Claude Codeチームの分析では、effortを上げても減るのは「エッジケースの見落とし」で、「そもそもアプローチが間違っている」失敗はほとんど減りません。公式ドキュメントもmaxは考えすぎになりやすいと注記しています。所要時間が数十倍になる例もあるため、検証が重要な仕事に絞って上げるのが基本です。
Claude Codeのeffortはどこで設定しますか?
セッション中に /effort と入力するのが基本で、Enterで既定として保存、sキーでそのセッション限定にできます。ほかに起動時の --effort フラグ、環境変数 CLAUDE_CODE_EFFORT_LEVEL、settings.json の effortLevel(モデル別は modelSettings)、skillやサブエージェントのfrontmatterでも指定できます。環境変数が最優先です。
effortを上げるとClaude Codeの料金はどれくらい増えますか?
思考トークンも課金対象で、Claude Codeチームの計測ではlow→maxでタスクあたりのトークン中央値が73kから222kへ約3倍になりました。定額プランでは利用枠の消費として効いてきます。当研究所の請求明細チェックではlow→highでAPI換算コストが約14%増、所要時間が約2.3倍でしたが、増え幅は課題によって大きく変わります。
参考資料・出典
- 公式ブログ・記事Using Claude Code: Spending your effort
effortの定義、Terminal-Bench 3.0の領域別合格率・所要時間・トークン中央値、失敗分類(Figure D)、本文で引用した発言
- スレッドThariq (@trq212)「What is effort really? When do you change it and why not just use max effort for everything?」
記事公開を告知した投稿。2026-09-28時点で1,407,060インプレッション・6,124いいね・10,094ブックマーク
- 公式ドキュメントModel configuration — Claude Code Docs
5段階のレベル、モデル別の対応と既定値、設定5方式と優先順位、作業中の切り替えとキャッシュ警告、思考トークンの課金、ultrathink(確認日)
- 公式ブログ・記事Coding sessions are longer and use more context. Claude Opus 5.5 is built with that in mind.
セッション中にeffortを変えてもキャッシュをリセットしない改善、キャッシュ読み取り価格の60%引き下げ
- ニュースClaude Opus 5.5
Opus 5.5の料金(入力$4・出力$20/百万トークン)とOpus 5比40%のコスト減
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