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Claude Codeの記憶は同僚に届かない——自動メモリの盲点と、チームで記憶を共有する3つの方法

「覚えて」と頼んだルールが同僚のClaude Codeには効かない——自動メモリはマシンローカルだからです。公式仕様と手元検証をもとに、CLAUDE.md・自動メモリ・hooksの3層構造と、チームで記憶を共有する具体的な方法を解説します。

Claude Codeの記憶は同僚に届かない——自動メモリの盲点と、チームで記憶を共有する3つの方法

この記事の結論

  • Claude Codeの記憶はCLAUDE.md(チームで共有)・自動メモリ(個人のマシン内)・会話(セッション限り)の3層で、混同すると「教えたはずのルールが効かない」が起きます。
  • 「覚えて」と頼んだ内容は自動メモリとして ~/.claude/projects 配下にマシンローカルで保存され、同僚のClaude Codeにもサブエージェントにも届きません。
  • チーム共通のルールはCLAUDE.md、日々の決定事項はgit管理の決定ログをCLAUDE.mdから@importで読み込ませる構成が、外部送信なしで最も確実です(手元のカナリア検証で動作確認済み)。
  • 今週話題のJevmemは「フックで捕捉→リポジトリ内に1行→次回注入」で共有を実現しますが、会話内容を外部サービスへ送る前提のため、顧客データを扱う業務では慎重な判断が必要です。

「先週ちゃんと教えたのに、今日のClaude Codeは同じ間違いをする」。チームでClaude Codeを使い始めた事務所や部署から、よく聞く声です。原因の多くは、Claude Codeの「記憶」があなたのパソコンの中だけに保存されていることにあります。本記事では、2026年9月25日にHacker Newsで話題になった自動メモリツール「Jevmem」を入口に、Claude Codeが何をどこに覚えているのかを公式仕様で整理し、チームで記憶を共有する3つの方法を手元検証つきで解説します。

目次

  1. Claude Codeの「記憶」は3層ある
  2. 「覚えて」と頼んだ内容は同僚に届かない
  3. 今週の話題:Jevmem——記憶を自動でリポジトリに残す試み
  4. チームで記憶を共有する3つの方法
  5. 運用の落とし穴——200行の壁と「記憶は強制ではない」
  6. 士業・バックオフィスへの示唆——3種類の知識を分けて置く
  7. まとめ
  8. よくある質問
  9. 参考資料・出典

Claude Codeの「記憶」は3層ある

Claude Codeのセッションは、毎回まっさらな状態から始まります。公式ドキュメントによれば、セッションをまたいで知識を引き継ぐ仕組みは2つ。それに「そのセッション中の会話」を加えると、記憶は3層に整理できます。

層 誰が書くか 何が入るか どこまで届くか
CLAUDE.md あなた(人間) 指示・ルール・業務フロー リポジトリを共有する全員(gitで配布)
自動メモリ(auto memory) Claude自身 あなたの好み・訂正・コードから読み取れない事情 あなたのマシンだけ
会話(セッション) 両者 いま話している内容 そのセッションが終わるまで

※公式の比較表をもとに、会話の層を加えて再構成。自動メモリは毎セッション開始時に索引ファイルの先頭200行または25KBまでが読み込まれます。

自動メモリは、Claudeが作業中に「これは次回も役立つ」と判断したことを自分でメモする仕組みです。メモは4種類に分類されます——あなたの役割や好み(user)、あなたがした訂正(feedback)、進行中の仕事や決定事項(project)、外部の参照先(reference)。コードを読めば分かることや、CLAUDE.mdに既に書いてあることは保存しません。

本記事の制作環境で実物を確認すると、メモリディレクトリには索引の MEMORY.md(4行)と、トピックごとのファイルが4本ありました。各ファイルの先頭には種別(type)と、それを保存したセッションのIDが記録されており、「いつ・どの作業で覚えたか」が後から追える構造です。

Claude Codeの3層の記憶構造の概念図
CLAUDE.md(共有)・自動メモリ(個人のマシン内)・会話(セッション限り)の3層

「覚えて」と頼んだ内容は同僚に届かない

ここが本記事でいちばん伝えたい点です。公式ドキュメントには、自動メモリの保存先と性質がはっきり書かれています。

公式仕様:自動メモリの保存先と範囲

  1. 保存先は各自のホームディレクトリ配下(~/.claude/projects/プロジェクト名/memory/)
  2. マシンローカルであり、別のパソコンやクラウド実行環境には共有されない
  3. 同じgitリポジトリ内なら、作業フォルダ(worktree)やサブディレクトリをまたいで1つのメモリを共有する
  4. 「これを覚えて」と頼むと自動メモリに保存される。CLAUDE.mdに書いてほしければ「CLAUDE.mdに追加して」と頼む

つまり、担当者Aさんが「請求書の宛名は『御中』ではなく担当者名にして」と教え、Claude Codeが「Saved 1 memory」と表示したとしても、その記憶はAさんのパソコンの中にしかありません。翌日、Bさんのパソコンで同じ作業をしても、BさんのClaude Codeはそのルールを知りません。「教えたはずなのに」の正体は、たいていこれです。

さらに細かい落とし穴として、メインの会話の自動メモリはサブエージェントには読み込まれない(fork型のみ例外)という仕様もあります。複数のエージェントを並列で動かす使い方をしている場合、親が覚えていることを子は知らない前提で設計する必要があります。

ある担当者のマシンにだけ記憶が残り、同僚のマシンには届かない様子
「Saved 1 memory」の記憶は、その1台の中にだけ残る

今週の話題:Jevmem——記憶を自動でリポジトリに残す試み

この「共有できない」問題に対する一つの答えとして、9月25日にHacker Newsで61ポイント・40コメントを集めたのが、オープンソースのJevmemです。仕組みはこうです。

1

毎ターンをフックで捕捉する

Claude Codeのhooks機能(Stopイベント)で、Claudeが応答を終えるたびにその内容を受け取ります。

2

「覚える価値があるか」を小さな分類器で判定する

大きなAIモデルに判断させるのではなく、Jevという専用の分類サービスに送り「決定か?バグか?」を確率で判定。作者の計測では中央値0.3秒です。

3

リポジトリ内のJEVMEM.mdに1行だけ書く

1ターンにつき最大1行(200文字以内)。決定が覆ったときは古い行を削除せず「superseded(上書き済み)」と印を付けて残します。

4

次のプロンプトで関連行を注入する

UserPromptSubmitイベントのフックで、関連する行をClaudeのコンテキストに差し込みます。ファイルはリポジトリにあるので、gitで共有すればチーム全員に届きます。

発想として面白いのは、「何を覚えるか」の判断を高価な大規模モデルから切り離した点です。ただし、コメント欄の反応は手放しの称賛ではありませんでした。

Hacker Newsで挙がった懐疑点

  • 「毎ターンの内容と直前2ターン、メモリファイル全体が、設立間もない外部ベンダーに送られる」というデータ送信への懸念
  • 「Claude Code標準のメモリ機能より何が良いのか、まだ分からない」というトップコメント
  • 上書き済みの古い決定を残す設計が、コンテキストを汚すのではないかという指摘

READMEもv0.5の初期段階であること、評価セットが作者自身の手によるものであることを正直に書いています。顧客データを扱う士業やバックオフィスの業務では、「会話の中身を外部サービスに送る」という一点だけで導入は慎重にならざるを得ないでしょう。とはいえ、フックで捕捉し、リポジトリ内のファイルに書き、次のプロンプトで注入するという骨格は、外部サービスなしでも自分たちで組めます。次の章で具体的に見ていきます。

チームで記憶を共有する3つの方法

方法①:CLAUDE.mdに書く(正攻法)

チーム全員に効かせたいルールは、迷わずCLAUDE.mdです(CLAUDE.mdとskillsの役割分担はこちらの記事で詳しく解説しています)。Claudeに「これをCLAUDE.mdに追加して」と頼むだけで書き込まれ、gitでコミットすれば全員のClaude Codeが次のセッションから読み込みます。公式は1ファイル200行以内を推奨しています(長くなるほど遵守率が下がるため)。ルールが増えてきたら .claude/rules/ にファイルを分け、対象ファイル種別ごとに読み込ませる方法も用意されています。

方法②:共有メモリファイル+@import(手元で検証済み)

CLAUDE.mdは他のファイルを取り込めます。行頭に「@ファイル名」と書くだけで、起動時にそのファイルが展開されて読み込まれます。これを使って「チームの決定ログ」を別ファイルに切り出す構成が、本記事のおすすめです。

CLAUDE.md(リポジトリ直下)
# プロジェクト共通ルール

@team-memory.md

決定事項が出たら、team-memory.md の末尾に1行(日付+内容)で追記すること。
team-memory.md(gitで共有する決定ログ)
# チーム決定ログ
- 2026-09-22 請求書の宛名は「御中」ではなく担当者名にする
- 2026-09-25 月次報告書の表紙は前月と同じテンプレートを使う(変更は所長承認後)

本当に読み込まれるのかを、AGENTS.md問題の検証で使われた「カナリア(合言葉)方式」で確かめました。検証用の空プロジェクトを作り、team-memory.mdに架空の合言葉を1行だけ書き、CLAUDE.mdから@importした状態で claude -p に「プロジェクト指示にある合言葉は?」と質問したところ、合言葉をそのまま返しました。取り込みは確実に機能します。

注意点が2つ。1つは、作業ディレクトリの外にあるファイルを@importすると、初回に承認ダイアログが出ること(他人がコミットしたファイルから勝手に読み込まれるのを防ぐ安全策です)。もう1つは、「決定事項を追記すること」という指示はあくまでお願いであり、Claudeが毎回確実に追記する保証はない点です。記録の抜けが気になるなら、次の方法③でフックによる捕捉を足します。

方法③:hooksで捕捉と注入を自動化する(Jevmem型の自作)

Jevmemと同じ骨格を、外部サービスなしの最小構成で組むとこうなります。UserPromptSubmitフックが標準出力に書いた文章は、そのままClaudeのコンテキストに追加される仕様を使います。

.claude/hooks/recall.sh(毎プロンプトで共有メモリを注入)
#!/bin/bash
[ -f team-memory.md ] || exit 0
echo "以下はチーム共有メモリです。矛盾する指示があれば新しい行を優先してください:"
cat team-memory.md
.claude/hooks/capture.sh(各ターンの応答を記録し、後で人間が整理)
#!/bin/bash
read -r JSON
echo "$(date +%F) $JSON" | head -c 400 >> .claude/turn-log.txt
exit 0
.claude/settings.json
{
  "hooks": {
    "UserPromptSubmit": [
      { "hooks": [ { "type": "command", "command": "${CLAUDE_PROJECT_DIR}/.claude/hooks/recall.sh" } ] }
    ],
    "Stop": [
      { "hooks": [ { "type": "command", "command": "${CLAUDE_PROJECT_DIR}/.claude/hooks/capture.sh" } ] }
    ]
  }
}

Jevmemとの違いは「何を覚えるか」の分類器がないことです。この最小構成では応答の先頭部分をログに溜めるだけなので、週に一度、人間がログを見てteam-memory.mdに1行ずつ転記する運用がセットになります。逆に言えば、外部に何も送らず、何が記憶に入るかを人間が完全に管理できます。

方法 記録の手間 チーム共有 外部送信 向いている用途
①CLAUDE.md 人が書く ◎ なし 恒久的なルール
②@import+決定ログ Claudeに頼む(保証なし) ◎ なし 日々の決定事項
③hooks自作 自動記録+人が整理 ◎ なし 抜け漏れを許さない場合
Jevmem 全自動 ◎ あり 外部送信を許容できる開発チーム
自動メモリ(標準) 全自動 ×(個人のみ) なし 個人の好み・訂正

運用の落とし穴——200行の壁と「記憶は強制ではない」

200行/25KBを超えた分は読まれない

自動メモリの索引MEMORY.mdは先頭200行または25KBまでしか読み込まれません。上限に近づくとClaude Codeが短縮を促し、超えた分は次回から切り捨てられます。CLAUDE.mdも200行以内が目標です。決定ログを@importする場合も同じ発想で、古い行は定期的に整理してください。

記憶は「文脈」であって「強制」ではない

公式ドキュメントは、CLAUDE.mdも自動メモリも「Claudeはcontextとして扱い、強制設定ではない」と明記しています。「必ず〇〇しないで」を確実に守らせたいなら、記憶ではなく権限設定やPreToolUseフックで止める必要があります。詳しくは権限設定ガードレールの記事で解説しています。

自動メモリを止めたいとき

個人の好みが混ざるのを避けたい共有マシンなどでは、/memory コマンドのトグルでOFFにできます(設定名は autoMemoryEnabled)。プロジェクト単位で止めるなら .claude/settings.json に autoMemoryEnabled: false、環境変数なら CLAUDE_CODE_DISABLE_AUTO_MEMORY=1 です。

士業・バックオフィスへの示唆——3種類の知識を分けて置く

事務所や部署でClaude Codeを使うとき、知識は性質ごとに置き場所を変えるのが長続きするコツです。

置き場所の目安

  • 事務所の共通ルール(書式・宛名・提出先・禁止事項)→ CLAUDE.md。所長や管理者がレビューしてコミット
  • 日々の決定事項(このお客様は〇〇方式、今月から様式変更)→ 共有の決定ログ(team-memory.md)を@import
  • 個人の作業の癖(説明は短く、表形式が好み)→ 自動メモリに任せる。共有しない

導入初週の現実的な運用としては、まず全員のClaude Codeに「決定事項が出たらteam-memory.mdに追記して」とCLAUDE.mdで頼み、金曜日に管理者がログを5分見直して整理する——これだけで「教えたはずなのに」はほぼ消えます。フックによる自動化は、その運用が回り始めてからで十分です。

まとめ

この記事のまとめ

  • Claude Codeの記憶はCLAUDE.md(共有)・自動メモリ(個人のマシン内)・会話(セッション限り)の3層
  • 「覚えて」と頼んだ内容は自動メモリ=マシンローカルに入り、同僚には届かない。サブエージェントにも届かない
  • 今週話題のJevmemは「フックで捕捉→リポジトリ内ファイルに1行→次回注入」で共有を実現するが、外部サービスへの送信が前提で懐疑的な反応もある
  • 同じ骨格は、CLAUDE.mdの@import(手元検証済み)と、必要ならhooksの最小構成で外部送信なしに組める
  • 記憶は「文脈」であって「強制」ではない。守らせたいルールは権限設定・フックで止める

よくある質問

Claude Codeに「覚えて」と頼んだ内容は同僚にも共有されますか?

いいえ。自動メモリはマシンローカル(~/.claude/projects/プロジェクト名/memory/)に保存され、別のPCやクラウド環境には共有されません。全員に効かせたいルールは「CLAUDE.mdに追加して」と頼み、gitでコミットして配布してください。

自動メモリ(auto memory)を無効にするにはどうすればよいですか?

セッション内で /memory を開いてトグルをOFFにすると ~/.claude/settings.json の autoMemoryEnabled に保存されます。プロジェクト単位なら .claude/settings.json に autoMemoryEnabled: false、環境変数なら CLAUDE_CODE_DISABLE_AUTO_MEMORY=1 を設定します。

CLAUDE.mdに書いたルールは必ず守られますか?

いいえ。公式ドキュメントはCLAUDE.mdも自動メモリも「contextであって強制設定ではない」と明記しています。確実に止めたい操作は権限設定(permissions の deny / ask)やPreToolUseフックで制御してください。

Jevmemは導入すべきですか?

開発チームで外部サービスへの送信を許容できるなら選択肢になりますが、v0.5の初期段階で、毎ターンの内容がTypeSafe AIに送られます。顧客データを扱う業務では、CLAUDE.mdの@importによる共有決定ログか、外部送信のないhooks最小構成から始めるのが現実的です。

参考資料・出典

  1. スレッドJevmem – automatic project memory for Claude Code, built on Jev
    avinashjetwani(Jevmem作者) / Hacker News / 2026-09-25

    本記事の入口となった投稿と、外部送信・ネイティブ機能との差分・コンテキスト汚染をめぐる懐疑的なコメント(2026-09-28時点で61pt・40コメント)

  2. GitHubAvinash-jetwani/jevmem README
    GitHub / 2026-09-28

    Stop / UserPromptSubmit フックによる捕捉と注入、JEVMEM.md の1行200文字・superseded 方式、Jev分類器の数値、v0.5・評価セット自作の但し書き(確認日)

  3. 公式ドキュメントHow Claude remembers your project — Claude Code Docs
    Anthropic / 2026-09-28

    CLAUDE.md と auto memory の比較表、保存場所とマシンローカル性、200行/25KBの読み込み上限、autoMemoryEnabled、@import 構文と外部インポートの承認(確認日)

  4. 公式ドキュメントHooks reference — Claude Code Docs
    Anthropic / 2026-09-28

    UserPromptSubmit の標準出力がコンテキストに追加される仕様、Stop フックの last_assistant_message、exit code の意味(確認日)

  5. 公式ブログ・記事Claude Code reads AGENTS.md only when telemetry is on
    blog.szypowi.cz / 2026-09-23

    本記事の手元検証で用いた「カナリア(合言葉)方式」の元になった検証手法

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